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【スペイン・オリーブ畑紀行】古都トレドにあるカサス・デ・ウアルド農園

Tomoko Kato    Tokyo 17 Noviembre ,2025

 

スペイン・カスティーリャ・ラ・マンチャ州のトレド。歴史深いこの古都は、石畳の街並み、壮麗な大聖堂、そして中世の風情を残した美しい風景で知られています。しかし、今回の訪問の目的は、街の観光ではありません。大自然に包まれたトレド郊外に広がる「ウアルド農園」、そしてそこで生まれる特別なエキストラバージン・オリーブオイルに触れる旅でした。昨年11月のレポートをお届けします。

2024,11月のウアルド農園

農園近くにはタホ川が流れ、大自然が広がる

農園の中には、広大な広さの畑やビニルハウスがある

採れたてのいちごもジューシーだった

チーズ工場でつくられているケソ・デ・オベーハ(Queso de Oveja)の味わいも、たまらない

羊飼いが世話をする羊。取材時には生後数日の赤ちゃんもいた。

「ウアルド農園(Casas de Hualdo)」とは?  

ウアルド農園は、トレド郊外に広がる680ヘクタール(東京ドーム148個分の広さ)のオリーブ畑があり、家族経営の情熱と最先端の技術が融合した場所です。車がないと困難なほど壮大な敷地には、動物や植物が共存する豊かな自然が広がり、訪れる人々を優しく迎えます。この農園のオリーブオイル「カシータス・デ・ウアルド」は、スペイン国内だけでなく、世界中で高く評価されています。収穫から製造までを一貫して自社で行うこの農園のこだわりは、他では見られないほどの徹底ぶりです。  

チーズ工場を過ぎると、オリーブオイルの搾油所入り口がある

大地と太陽の力で育まれるオリーブ  

訪れたのはちょうど収穫期の真っ最中。農園では、果実が太陽の光をたっぷり浴びて育てられています。約30万本あるオリーブの木々が整然と並ぶ光景は圧巻。風に揺れる枝葉から生命の息吹を感じずにはいられません。この農園では、4種類のオリーブ品種(アルベキーナ、ピクアル、コルニカブラ、マンサニージャ)が育てられています。コルニカブラはトレドの原産地呼称(*)による保護されている品種です。それぞれの特性を生かしてオイルがつくられています。  (*【レポート】消費者必見!最高品質のトレド産オリーブオイルの魅力とは?)

収穫されたオリーブは、驚くほど短時間のうちに搾られます。オリーブの実が収穫されてから2〜4時間以内に搾油が行われるため、フレッシュな風味が損なわれることはありません。この迅速な工程こそが、ウアルド農園のオイルが際立った新鮮さと高品質を誇る理由の一つでもあります。

世界が認めるクオリティ  

ウアルド農園の工場は、「スペイン最優秀オリーブオイル工場賞」を受賞するほどの高水準を誇っています。2009年に建設された最新の施設では、1日に最大160トンものオリーブを加工することができるのです。生産ラインは、衛生管理が徹底され、果実は土に触れることなく、機械で丁寧に収穫・洗浄されます。このシステムによって、オイルの純度と味が守られているのです。  

また、工場内での温度管理も徹底されており、21℃という低温で加工が行われ、製品は17~20℃の一定温度で保管されます。このような細部へのこだわりが、ウアルド農園のオイルを世界最高峰の品質に押し上げているのです。さらに、農園では英国小売業協会(BRC)の厳しい基準をクリアし、最高得点を取得。これは、食品の安全性と品質に対する信頼の証と言えるでしょう。  

世界中に輸出されるオイルをボトリング

オリーブオイルを入れるステンレスタンク

別の部屋にもまだまだタンクがある

「カシータス・デ・ウアルド」の味わい  

ウアルド農園の代表的な製品「カシータス・デ・ウアルド」は、4種類のオリーブからその年ごとにブレンドされるエキストラバージン・オリーブオイルです。収穫の初日に厳選されたオリーブの実からつくられます。品種別にそれぞれの味わいを確かめ、著名なブレンダーが特別にブレンドを手がけるのです。その味わいは、まさに自然そのもの。たとえば今年の味わいは、青りんごやトマト、アーティチョークのフレッシュな香りが広がり、熟した果実やスパイスの風味が絶妙に調和します。ひと口含むだけで、まさに大地の恵みを感じることができるのです。  

また、「カシータス・デ・ウアルド」にはSIQEV(シーケーヴ)シールが付いており、これは第三者機関が品質を保証する特別な証明です。他者の農園から果実を持ち込むことなく、自社農園の果実だけでオイルをつくるという姿勢が、この製品の価値をさらに高めています。  

 持続可能な農業への取り組み  

ウアルド農園では、環境保護にも力を入れています。農園内には1.3ヘクタールの太陽光発電所があり、この自然エネルギーは滴下灌漑システムに利用されています。このシステムは、オリーブの木々に必要な水分を効率よく供給し、資源を無駄にしない持続可能な方法です。またマドリッド工科大学と共同で研究も行われています。農園の中にはオリーブの木を360度の方向に植えている場所があり、より良い日当たりや水捌けなど、細かな調査をしているのです。さらに最新の灌漑技術や湿度測定器の研究も進めており、つねに気候変動と向き合いながら、自然との共生を追求しています。  

2015年エクストラスケープ賞(*世界最高のオリーブオイルを生産する農場とその景観の重要性に対して与えられる賞)を受賞。最も美しい景観と組み合わされた最高のオリーブオイルとしてますます評価され続けています。

 

搾りたて!まさにオリーブのジュース!

オリーブの搾りかすは、肥料として再利用される

 世界へ広がる「ウアルド」の魅力  

現在、「カシータス・デ・ウアルド」は30カ国以上に輸出され、世界中のオリーブオイル愛好家に愛されています。その人気の背景には、品質だけでなく、生産に込められた情熱と誠実さがあります。工場訪問中、スタッフたちの真摯な姿勢と誇りに満ちた表情がとても印象的でした。この場所が、ただの生産地ではなく、人々の思いが詰まった特別な場所であることを改めて強く感じました。  

ウアルド農園が教えてくれること  

今回の訪問を通じて、私たちの食卓に届くオリーブオイル一滴には、大地と人々の知恵、そして情熱が詰まっていることをあらゆる要素から実感しました。ウアルド農園の取り組みは、単なるオイルの生産にとどまらず、自然と共生しながら未来を見据える生き方そのものです。  

この記事を通して、この農園の物語と素晴らしいオリーブオイルの魅力が、より多くの方に伝わることを願っています。そして、皆さんがスペインを訪れる機会があるとき、農園をご案内をしたい気持ちでいっぱいです。ぜひトレドへ足を運んでいただき、ウアルド農園の大自然とその恵みに触れていただきたいです。 

今回はじめて訪れたトレドの街が一望できるパラドールからの写真

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スペインワインと食協会は、「スペインワインと食文化を囲み、高品質なスペインの魅力を皆さまと体感すること」を原点に、一過性ではないスペインブームを築く活動をしています。今後もスペインワインと食を真ん中に、新しい取組みや情報をご提供して参ります。

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多くの人に知られていない「スペインワインと食」を見る、聞く、味わう、体験と、五感を使い楽しみながら、その業界の一流講師による貴重な講義を体験できます。ここでしか得られないリアルイベントならではの仲間との出会いは一生の宝物です。

 

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スペインワインと食協会 加藤智子/ PERIODISTA DE AGE TOMOKO KATO

福岡県出身のフードジャーナリスト。1997年からシェフ、パティシエ、ワイン販売など多岐にわたるポジションを経験。レストラン「アクアパッツァ」広報・PRとして活躍した後、スペイン食材輸入専門のLA PASION[現:(株)LA PASION]を立ち上げ、2011年には「スペインワインと食協会」を設立。オリーブオイルを取り入れたライフスタイルを提案し、テイスティング・食育講師としても活動。2016年からフードジャーナリストとして執筆も手がける。毎週配信のニュースレターに読者が増え続け、企業や行政からスペインワインと食関連の取材依頼が殺到している。「LOHASPAIN」WEBマガジン編集長。オリーブオイルソムリエ®。

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