【レポート】消費者必見!最高品質のトレド産オリーブオイルの魅力とは?¿Cuál es el atractivo del aceite de oliva de la más alta calidad de Toledo?
Tomoko Kato Tokyo 21 June ,2024
2024年5月30日、東京・銀座のコートヤードマリオット銀座東京ホテルで、日本オリーブオイルソムリエ協会とカステーリャ・ラ・マンチャ州政府の協力のもとに「スペイン・モンテストレドDOP産地セミナー」が開催されました。このセミナーは、OLIVE JAPANⓇ2024 国際オリーブオイルコンテストの審査員でもあるEnrique Garcia Tenorio氏(Montes de Toledo DOP 財団CEO)が講師を務め、募集開始すぐに満席になるほどの大人気ぶりだったそうです。全国から集まった参加者たちは、トレド産オリーブオイルの奥深さを学び、実際にテイスティングを通じ、その魅力を体験しました。この記事では、セミナーの内容やトレド産オリーブオイルの優れた点を詳しく紹介します。
セミナーの概要
セミナーは、トレド産オリーブオイルの歴史や特性についての講義から始まりました。トレド産のオイルは、その歴史と品質の高さで知られています。昔からオリーブ栽培やオイルが生産されており、オリーブの木やオリーブに関する多くの文献が残されていたためです。Enrique氏は、ローマ時代からの記述があったことについても触れました。とくに南部の地域では、オイルの品質を上げ、同時に収穫量を増やしていくために品種の選択をしていくようになります。その結果、他の地域ではみられないコルニカブラ種が発達することにつながりました。
トレド産オリーブオイルの歴史と品質
トレドは、夏と冬の気温差が激しく、降水量は非常に少なく、貧しい土壌が特徴です。この厳しい環境が、品質の高いオリーブの栽培に適していると説明されました。とくにコルニカブラ種は1000年以上の歴史を持ち、トレドで98%が生産されています。伝統的な方法で栽培され、100年以上の古木がつかわれています。大量生産はできませんが、その分、品質が非常に高いのです。現在の生産量は、スペイン全体でも約2%、世界全体では1%にも満たない、とても希少なオイルです。コルニカブラ種のオリーブは、先が尖ってヤギの角のような形をしており、その名もここから来ています。
原産地呼称制度の重要性
トレド産オリーブオイルの品質を守るために、2000年にモンテス・デ・トレド(Montes de Toledo)がEUに登録され、原産地呼称制度が設けられました。目的は、ボトルの中身を「正真正銘のトレドで生産されたオイル」として消費者に保証するためです。オリーブの栽培からボトリングに至るまで厳しい基準や手続きが必要な制度です。このようなシステムと生産者たちの思いがあるからこそ、トレド産オリーブオイルは世界的に高く評価されています。20世紀以降、DOPの主要品種であるコルニカブラ品種の栽培が98%を占めています。
Enrique氏は「できるだけ良いオリーブの実をつくり、その身がもっているものをオリーブオイルに詰め込むのです。オリーブがもつ良さをそれ以上にすることは人間にできないから。自然が与えてくれた実のなかにあるすべての良いものを損なわずにオイルにうつす、それがわたしたちの仕事です」と述べました。
Enrique Garcia Tenorio氏(Montes de Toledo DOP 財団CEO)
エキストラバージン・オリーブオイルの生産
Enrique氏が説明した上質なオリーブオイルを生産するための7つのポイントは以下です。
1.オリーブの的確な収穫のタイミング
2.収穫されたオリーブはできるだけ短時間で搾油すること
3.オリーブの練り込み時の温度やタイミング
4.遠心分離機について
5.フィルタリング
6.ボトリング前のステンレスタンクでの保管
7.原産地呼称委員会の監査、テイスティングパネル
テイスティングの重要性
オリーブオイルは、個性があり、それぞれに合う料理があり、素材や料理ごとに楽しむことができます。ワインも同じように、ワインごとに合う料理やシーンがあります。ワインを知れば知るほど楽しみを増やし豊かにしていけるように、オイルにも詳しくなれば、より楽しんでいただけるはず。その意味でもオリーブオイルのテイスティングが存在します。オリーブオイルの味や香り、風味を理解できると、どういう料理に合うかを知ることができます。「そもそもオリーブオイルは、わたしたちの五感を楽しませてくれるものですから。たとえ分析値が高くても、味わいがおいしくなければ意味がないですよね」と、Enrique氏は、強調しました。
トレド産オリーブオイルのテイスティング体験
セミナーでは、トレド産コルニカブラ種はもちろんのこと、それ以外も非常にいいオイルがでつくられていることを体験してもらえるようにと、4種類の品種によるテイスティングが行われました。(4品種:エンペルトレ、ピクアル、コルニカブラ、コラティーナ)
Enrique氏は、テイスティングコメントに加え「トレド産ならではのピクアルの特徴」というように品種ごとの個性や特徴を詳しく解説しました。さらにコラティーナ種が、スペインの著名なオリーブオイルのガイドブックにおいてトップに選ばれたという、最新情報も。参加者たちは、それぞれのオリーブオイルの風味や香り、味わいを実際に体験し、そのちがいを学びました。この講座でしか聞けない貴重な知識と情報などが含まれており、またとない機会に恵まれたことは間違いありません。
最後に
今回のセミナーでは、トレド産オリーブオイルの魅力を存分に感じることができました。参加者の満足度も相当なものだったはずです。オリーブオイルソムリエでもあり、トレドにも訪問したことがある筆者にとっても、このセミナーではじめて耳にする情報も少なくありませんでした。とくに、高品質なオイルを生み出すための原産地呼称登録に至るまでのエピソード、この地の各オリーブ品種の特徴など、書籍やインターネットにはない情報が盛りだくさんだったからです。さらなる好奇心が生まれるとともに、ソムリエだからこそ、広く、奥深いオリーブオイルの世界を体験し、学び続けていく必要があると、改めて気づくきっかけになりました。
トレド産オリーブオイルは、その歴史と品質、そして多様な風味で世界中の料理を豊かにします。筆者はこれからも、その魅力を多くの人々に伝えていきたいと考えています。
日本オリーブオイルソムリエ協会®︎
協会理事、協会校長 遠藤 朋美(えんどう ともみ)先生
日本オリーブオイルソムリエ協会®︎は、日本最大のオリーブオイルの専門機関です。
世界でも唯一となる消費者・ユーザーの立場に立った教育・啓蒙普及活動を行っています。
HPより抜粋
OLIVE JAPAN®は、日本で最大のオリーブをテーマにした一大イベントです。世界最大規模の国際的なオリーブオイルのコンテスト(OLIVE JAPAN International Extra Virgin Olive Oil Competition 毎年4月-5月頃開催)とコンテスト受賞オリーブオイルの生産者やオリーブに関連した商品を取り扱う販売者が商品紹介や展示即売を行う「OLIVE JAPAN SHOW」(次回は、”OLIVE JAPAN® SHOW 2024 として2024年6月28日(金)〜29日(土)・入場無料)を中核イベントに、各種セミナーやワークショップ、日本一のオリーブオイルソムリエ®を決めるソムリエ技能コンクールなど、オリーブを接点とした輪が広がります。
HPより抜粋
スペインワインと食協会プロデュース「スペインワインと食大学」とは
企業と一般の人々のプラットホームとなるオトナの学び場「スペインワインと食協会(=スペ食大学)」を開催しています。
多くの人に知られていない「スペインワインと食」を見る、聞く、味わう、体験と、五感を使い楽しみながら、その業界の一流講師による貴重な講義を体験できます。ここでしか得られないリアルイベントならではの仲間との出会いは一生の宝物です。
スペインワインと食協会とは
スペインワインと食協会は、「スペインワインと食文化を囲み、高品質なスペインの魅力を皆さまと体感すること」を原点に、一過性ではないスペインブームを築く活動をしています。今後もスペインワインと食を真ん中に、新しい取組みや情報をご提供して参ります。
スペインワインと食大学運営 スペインワインと食協会(日本事務局/(株)LA PASION加藤)
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スペインワインと食協会 加藤智子
福岡県生まれ。1997年より「食」業界にて、調理師、パテシェ、サービス、イベントコーディネイト、企画、広報、PRまで幅広く経験。2009年「食で毎日をもっと嬉しく、人生をもっと楽しく」をテーマにLA PASION(ラパシオン)設立。スペイン食品輸入、食育・テイスティング講師、執筆を通し、オリーブオイルのあるライフスタイルを発信している。JOSAオリーブオイルソムリエ。