【後編】テネリフェ島独自の風土が生んだ、自根の稀少品種の味わい<ビニャティゴ>ワインテイスティング Bodegas Viñátigo en la Universidad de AGE Vol.3-第12回スペインワインと食大学

VIÑÁTIGO ビニャティゴ

【後編】テネリフェ島独自の風土が生んだ、自根の稀少品種の味わい<ビニャティゴ>ワインテイスティング Bodegas Viñátigo en la Universidad de AGE Vol.3-第12回スペインワインと食大学

Ikumi Harada    Tarragona – Agosto 15, 2024

6月26日に、東京で開催された「第12回スペインワインと食大学」のレポートを、前編・中編とお届けしました。

【前編】第12回スペインワインと食大学~ビニャティゴ~カナリア諸島の固有品種を絶滅の危機から救ったワイナリー@アカデミー・デュ・ヴァン青山校 Seminario con Bodegas Viñátigo en la Universidad de AGE

【中編】<ビニャティゴ>特別講義:テネリフェ島でコルドントレンサードが生まれた理由 Seminario con Bodegas Viñátigo en la Universidad de AGE Vol.2-第12回スペインワインと食大学

後編では、ビニャティゴの醸造家マリア・エレナ・バティスタ・エレーラ女史によるワインテイスティングの詳細に迫ります。エレナの解説を通じて、ビニャティゴのワインがいかにしてその独自の魅力を引き出しているのかを探ります。

VIÑÁTIGO ビニャティゴ

写真左から、ビニャティゴ醸造家兼ブドウ栽培責任者のホルヘ氏、ビニャティゴ創設者兼科学者のフアン・ヘスス氏、ビニャティゴのワインインポーター サラコーポレーション代表内海紗良さんが、主催と通訳を担当、ビニャティゴ醸造家のマリア・エレナ氏がワインティスティングのレクチャーを行いました。

ビニャティゴ エレナ

Mª Elena Elena Batista Herrera

ビニャティゴ
マリア・エレナ・バティスタ・エレーラ

工業化学の博士号を取得。マドリード工科大学でブドウ栽培と醸造学の修士号取得。1998年よりビニャティゴの品質、プロセスおよび研究開発(R&D)担当。フアン・ヘススの奥様。

この日は5種類のワインをテイスティングしました。
・ビニャティゴ・リスタン・ブランコ 2023
・ビニャティゴ・アッサンブラージュ・ブランコ 2023
・ビニャティゴ・リスタン・ネグロ・ロサード 2023
・ビニャティゴ・リスタン・ネグロ 2023
・ビニャティゴ・ネグラモル 2023

大西洋とテイデ火山の恵みをグラスで感じるービニャティゴ ワインテイスティングーViñátigo Wine Tasting

スペインワインと食大学
VIÑÁTIGO ビニャティゴ

2023 ビニャティゴ・リスタン・ブランコ

【ぶどう品種】リスタン・ブランコ
【畑】
海抜160~200mのフィンカ・フアンダナ区画、海抜400mのフィンカ・マサペの二つの区画で栽培。両区画ともテイデ火山の最新の噴火による若い火山性土壌。前者の区画は北向きの畑、後者の区画は大西洋を見渡し常に爽やかで潮の香りのする海風が吹く。

【醸造・熟成】天然酵母で、ステンレスタンクにてアルコール発酵、その後シュール・リー製法

【テイスティングコメント】ほのかなフェンネル、ピーチ、ドライフルーツの華やかなアロマと、火山性土壌の影響でスモーキーな香りと、ミネラル感とのある塩味が特徴的。上質なドライワイン。

Vinatigo-Listan-Blanco
ENSAMBLAJE-BLANCO

2023 ビニャティゴ・アッサンブラージュ・ブランコ

【ぶどう品種】グアル、マルマフエロ、ビハリエゴ・ブランコ、リスタン・ブランコ、マルバシア・アロマティカ、アルビージョ・クリオージョ

【畑】島の北西に位置し、標高300~700m。土壌は主に粘土質と玄武岩を含んだ石。

【醸造・熟成】手摘み。アルコール発酵は品種別で行い、天然酵母を使用。一部の品種はステンレスタンクとコンクリート卵型タンク、一部はステンレスタンク、一部はフレンチオーク樽で発酵。ブレンドは過程の最後に行われ、その比率はビンテージによって変わる。

【テイスティングコメント】芳醇で魅惑的なトロピカルフルーツと火山土壌由来のスモーキーな香りが融合。複雑で深い味わいが特徴。

2023 ビニャティゴ・リスタン・ネグロ・ロサード

【ぶどう品種】リスタン・ネグロ
【畑】
ワイナリーの目の前に広がる北向きの優れた斜面。テイデ火山の最新の噴火による若い火山性砂質土壌。棚仕立て、垣根仕立て。
【醸造・熟成】除梗して、圧搾機で2~4時間醸す。その後天然酵母を用いてアルコール発酵

【テイスティングコメント】赤系果実、フレッシュなハーブ、スモーキーな香りとミネラル香が特徴。軽やかで、フレッシュな酸味と塩味、スパイスのある辛口ロゼ。程よいタンニンが心地よい。

ROSADO-DE-LISTAN-NEGRO
Listan-Negro

2023 ビニャティゴ・リスタン・ネグロ

【ぶどう品種】リスタン・ネグロ
【畑】
島の北西に位置し、標高300~700m。土壌は主に粘土質と玄武岩を含んだ石。
【醸造・熟成】手摘み。天然酵母を用いて、ステンレスタンクにてアルコール発酵。フレンチオーク古樽で3ヶ月間熟成。

【テイスティングコメント】香りはブラックペッパーや熟した黒果実などテネリフェ島の火山性土壌を明確に表現している。ミディアムボディで柔らかなタンニンを持つ。

2023 ビニャティゴ・ネグラモル

【ぶどう品種】ネグラモル
【畑】
海抜160~200mのフィンカ・フアンダナ区画、海抜400mのフィンカ・マサペの二つの区画で栽培。両区画ともテイデ火山の最新の噴火による若い火山性土壌。前者の区画は北向きの畑、後者の区画は大西洋を見渡し常に爽やかで潮の香りのする海風が吹く。

【醸造・熟成】手摘み。天然酵母を用いてステンレスタンクでアルコール発酵。フレンチオーク古樽で6ヶ月間熟成。

【テイスティングコメント】ネグラモル種はカナリア諸島の品種の内、最もデリケートな品種で、その繊細なテクスチャーや色味から「カナリア諸島のピノ・ノワール」と称される。透明感のあるルビー色。熟した赤い果実の香りに、ほんのりスモーキーなアロマやキャラメル、トフィーの香りも加わる。タンニンはとても柔らかく、赤い果実と塩味のニュアンス、冷涼な酸が特徴。

Vinatigo-Negramoll
テネリフェ

この日、ビニャティゴのワインを試飲し、その味わいに改めて感動しました。北大西洋から吹く湿った貿易風(アリシオス)や、テイデ山の高い標高、そして長い年月を経てマグマの影響を受けた土壌が絶妙に融合し、グラスの中にそのテロワールがしっかりと表れていました。フレッシュで引き締まった酸味と、大西洋を思わせる豊かなミネラル感が感じられ、ナチュラルで繊細な味わいの中にモダンさと優雅さが絶妙に調和していました。これほどまでに「独自性と多様性」を追求したワインが、多くのワインジャーナリストやソムリエたちを惹きつけるのも頷けました。

◯ビニャティゴのワインの詳細はこちらから

カナリア諸島、ビニャティゴのワインが繋いでくれたご縁に心から感謝します。

ビニャティゴ
ビニャティゴ
ビニャティゴ
スペインワインと食大学

「第12回スペインワインと食大学」のレポートを、前編・中編・後編の3部作でお届けしました。ご参加の皆様、ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。また、次回のスペインワインと食大学でお会いできますことを楽しみにしています。

【前編】第12回スペインワインと食大学~ビニャティゴ~カナリア諸島の固有品種を絶滅の危機から救ったワイナリー@アカデミー・デュ・ヴァン青山校 Seminario con Bodegas Viñátigo en la Universidad de AGE

【中編】<ビニャティゴ>特別講義:テネリフェ島でコルドントレンサードが生まれた理由 Seminario con Bodegas Viñátigo en la Universidad de AGE Vol.2-第12回スペインワインと食大学

スペインワインと食協会プロデュース
スペインワインと食大学」とは

企業と一般の人々のプラットホームとなるオトナの学び場「スペインワインと食協会(=スペ食大学)」を開催しています。多くの人に知られていない「スペインワインと食」を見る、聞く、味わう、体験と、五感を使い楽しみながら、その業界の一流講師による貴重な講義を体験できます。ここでしか得られないリアルイベントならではの仲間との出会いは一生の宝物です。

▶スペインワインと食大学運営(日本事務局/(株)LA PASION加藤)

スペインワインと食協会とは

スペインワインと食協会は、「スペインワインと食文化を囲み、高品質なスペインの魅力を皆さまと体感すること」を原点に、一過性ではないスペインブームを築く活動をしています。今後もスペインワインと食を真ん中に、新しい取組みや情報をご提供して参ります。

▶スペインワインと食協会(日本事務局/(株)LA PASION加藤  スペインオフィス/原田)

WEB:spainwinefood.org E-MAIL: info@spainwinefood.org

カナリア諸島のワインについての関連記事

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スペインワインと食協会 原田郁美

山口県出身。広告代理店でデザイナーとして勤務後、渡西。3年間のバルセロナ生活でスペインワインと食の魅力に取り憑かれ帰国後「日本とスペインをつなぐ架け橋」を目指し独立。2011年「スペインワインと食協会」設立。2012年に再び渡西。プリオラートでワインづくりとともに輸出サポート・ワインプロモーション全般、デザイン、執筆を行う。WSET ® Level 3 。Spanish Wine Specialist

Periodista de AGE IKUMI HARADA

Co-presidenta y periodista de la AGE, que se dedica a apoyar a los productores de vinos españoles para promocionar sus productos en el mercado japonés. WSET ® Level 3.Spanish Wine Specialist.

PERIODISTA DE AGE

Co-presidenta y periodista de la AGE, que se dedica a apoyar a los productores de vinos españoles para promocionar sus productos en el mercado japonés. Se mudó a España en 2012. Actualmente ofrece un servicio con el cual apoya la exportación de vinos y alimentos españoles a Japón, se encarga de hacer la traducción e interpretación relacionada con vinos españoles y la promoción.WSET ® Level 3.Spanish Wine Specialist.