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スペインのジントニック人気定着の秘密に迫る「ジン・パラウ・バルセロナ(Gin Palau Barcelona)」


Ikumi Harada   14 March, 2025

スペインで2007年頃から巻き起こったジントニックブームは、今や地中海のテラスや夕暮れ時の定番として深く根付いています。世界一ジンの種類が豊富と称されるこの国で、「バルセロナならここ!」と案内してくれたのは、1993年スペイン最優秀ソムリエに輝き、1988年以来数万人のソムリエを育て、今なお現役で活躍するフアン・ムニョス先生。当協会のコラボレーターでもある先生に連れられ、取材に訪れたのはジン専門店「ジン・パラウ・バルセロナ(GIN PALAU BARCELONA)」です。

ジン・パラウ・バルセロナ』のオーナー、パウ氏。ジンへの深い愛がひしひしと伝わってきました。ここでしか味わえないスペシャルなジントニックを作ってくださいました。

開店から23年間で3,100種類ものジンを試し、世界18カ国から1,261本を厳選。その基準は、この店を愛する常連客の声です。トニックも460種類から50本に絞り、まずはトニックだけをじっくり味わって、自分好みの完璧なジントニックに出会える。そんなこだわりが、この店の大きな魅力となっています。

フアン先生のミニ講義:ジェネバー(ジュネヴァ)とジンの違い

「オランダ生まれのジェネバー(ジュネヴァ)と英国のジンは似て非なるもの」

とフアン先生は語ります。共通点はジュニパーベリー(杜松の実)だけ。ジェネバー(「Genever」または「Jenever」)は、薬として生まれたジンの起源で、穀物をオーク樽で熟成させ、ウィスキーを思わせる風味が特徴です。一方、ジンはニュートラルなアルコールにボタニカルを加えて再蒸留し、「ロンドン・ドライ・ジン」のようなドライな最高峰を生み出します。「品質を見極めるのが鍵」と先生が強調するように、ドライから甘口、シェリー熟成や希少な『アント・ジン』まで、その多様性が魅力です。

日本のジンについて尋ねると、

日本のジンはエレガントで繊細、そして爽やかさが際立っています。柚子や山椒といった日本らしいアクセントが、味わい深さと清涼感を見事に共存させていて、まさに日本ならではのジンだと感じます。

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穀物アルコールにアリを漬け込んだ超希少な「アント・ジン」

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シェリーやワインが熟成された樽で仕上げた「シェリー・ジン」や「ワイン・ジン」、アルプスやパタゴニア、アンデス産のボタニカルを使用したもの、海藻やお茶、人間の香り(!)のジンも

ジントニックが、なぜスペインで愛され続けるのか?

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パウと共に、オーナーのエステルさん

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Juan Muñoz

スペインや南米で、何万人ものソムリエを育ててきたマスターソムリエ、フアン・ムニョス先生。当協会のコラボレーターでもあります。

フアン先生のプロフィールはこちら → ★

2007年、スペインでジントニックのブームが幕を開けました。当時筆者は、バルセロナに住んでいましたが、その流れを強く意識することはありませんでした。本格的にその熱狂を実感したのは、2009年に日本からの出張で久しぶりにスペインを訪れたときです。マドリードのおしゃれなバーやホームパーティーで、ジントニックがまるで主役のように登場。豪華なバルーングラスに注がれ、バラの花びらが彩りを添えるその姿に、それまでの印象が180度変わりました。今でも鮮明に覚えています。

確かに、あの頃の熱狂に比べればブームは落ち着きました。しかし、なぜスペインでジントニックは定番の地位を獲得したのでしょうか?

フアン先生はこう答えました。

ジントニックの起源は、当時イギリス領だったインドにあります。ジェイコブ・シュウェップスという人物が、壊血病を防ぐためのクエン酸と、マラリアを防ぐためのキニーネを含む炭酸飲料を開発し、「シュウェップストニック」が誕生しました。

スペインでの流行のきっかけとなったのは、2000年代、ビトリアやサン・セバスティアンで開催されるガストロノミーのカンファレンスでした。シェフたちの間で、チャコリやシードル用のグラスでジントニックを楽しむスタイルが流行。毎晩、カンファレンスの後に炭火焼きレストランを訪れ、ジントニックがまるで洪水のように振る舞われていました。この流れがバルセロナにも伝わり、カンファレンスから戻ったシェフたちによって、2005年から2007年頃にかけて一気に普及したのです。

興味深いことに、美食界のレジェンドであるメルセ・トーレス(Mercé Torres)や、カルレス・アベリャン(Carles Abellán)、カルレ・ガイグ(Carle Gaig)といった名だたるシェフたちが、チャコリグラスにたっぷりの氷とレモンピールを入れてジントニックを楽しんでいたのです。これは、私自身や多くの仲間たちが実際に体験してきた本当の話です。

一過性のブームで終わらず、ジントニックがスペインに定着した背景には、気候とライフスタイルの影響が大きいですね。テラスやビーチのチリンギート(海辺のバル)が舞台となり、多様なジンとトニックの種類がブームを支えました。さらに、トニックでアルコール度数が下がる点も、その人気を後押しした要因の一つでしょう。

そして現在に至るまで、このロングカクテルはますます洗練され、世界5大陸で次々と新しいクラフトジンが誕生するほどのブームとなっています。

なるほど。

フアン先生のジンにまつわる話を聞きながら、「ジン・パラウ・バルセロナ」で自分好みのジントニックを味わう時間は、新たな発見の連続でした。日本のジンが10種類以上揃っていたのも印象的で、1杯ごとに異なる個性を楽しめるのが、この店の魅力です。

オーナーのエステル&パウの温かい人柄と、こだわりが詰まったジントニックは、多くの人を惹きつけています。リピーターが絶えないのも納得です。スペインのジン文化を堪能したい方は、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

GIN PALAU BARCELONA

住所  C/ Muntaner, 256 Sarria-Sant Gervasi, Barcelona, Spain 08021
WEB https://palaunougintonic.com/es/
Instagram @ginpalaubarcelona

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スペインワインと食協会 原田郁美

山口県出身。大学卒業後、広告代理店でデザイナーとしてのキャリアを積んだ後、スペインに語学留学。バルセロナでの3年間の生活を通じて、スペインワインと食文化に深く魅了され、帰国後は「日本とスペインをつなぐ架け橋」を志して独立。2011年に「スペインワインと食協会」を設立。2012年からはプリオラートでのワイン造り、国際営業マネージャー、スペインワインのプロモーション活動、及び執筆を手掛ける。WSET ® Level 3, Spanish Wine Specialist(ICEX-スペイン貿易投資振興機構認定)

Periodista de AGE IKUMI HARADA

Co-presidenta y periodista de la AGE, que se dedica a apoyar a los productores de vinos españoles para promocionar sus productos en el mercado japonés. WSET ® Level 3.Spanish Wine Specialist.

PERIODISTA DE AGE

Co-presidenta y periodista de la AGE, que se dedica a apoyar a los productores de vinos españoles para promocionar sus productos en el mercado japonés. Se mudó a España en 2012. Actualmente ofrece un servicio con el cual apoya la exportación de vinos y alimentos españoles a Japón, se encarga de hacer la traducción e interpretación relacionada con vinos españoles y la promoción.WSET ® Level 3.Spanish Wine Specialist.

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