【取材】知っておきたいアンダルシア産ワイン「シェリー」6つの特色とは〜アンダルシア製品展示会Vol.2
text & photographs by Tomoko Kato
Tokyo-April 9,2024
4月9日東京のニューオータニでスペイン・アンダルシア州政府アンダルシア製品輸出促進公社(Andalucía TRADE)主催による第17回「スペイン アンダルシア製品展示会(食品・飲料)」が開催されました。
今回のレポートは、コロナ禍を経て久しぶりにアンダルシア州から来日した生産者の取材の2回目です。
スタートは、アンダルシア産ワイン「シェリー」の魅力からご紹介します。
アンダルシア産ワイン「シェリー」6つの魅力とは
今日はアンダルシア産ワインのひとつ、シェリーの魅力をまとめてみました。(基本編)
1. シェリーの特徴
- シェリーは、アンダルシア地方において独特の製法から生産される白ワインです。スペインではビノ・デ・ヘレス(Vino de Jerez)と呼ばれ、もっとも古いワイン産地ヘレス地域でつくられます。長期間樽で熟成されるため、深い味わいが特徴です。
2. 独特な製法
- シェリーは、3種類の白ぶどう(パロミノ/ Palomino、ペドロ・ヒメネス/ Pedro Ximénez、モスカテル/ Moscatel)から、特殊な醸造プロセスを経てつくられます。その一環として、ワインに「フロール」と呼ばれる酵母が生育する環境を提供します。
3. 独自の風味
- シェリーは、オーク樽で「ソレラ・システム」という熟成方法で最低3年以上、熟成されます。アーモンド、キャラメル、ドライフルーツのような香りなど、幅広い風味が特徴です。
4. 多彩なスタイル
- シェリーには、バラエティに富んだスタイルがあります。辛口から極甘口まで、3つのタイプに分けられており、好みやシーンに合わせてさまざまな味わいを楽しむことができます。
⑴. ビノ・ヘネロソ(Vinos generosos)完全発酵させた辛口ワイン
⑵. ビノ・ヘネロソ・デ・リコール(Vinos generosos de licor)⑴と⑶の2種類をブレンドした甘口ワイン
⑶.ビノ・ドゥルセ・ナトゥラル(Vino dulces naturales)部分発酵で酒精強化することでブドウ果汁の糖分を残した極甘口ワイン
5. 食事との相性
- シェリーは、多種多様な料理との相性を楽しむことができます。チーズ、ナッツ、肉、シーフードはもちろん、刺身、天ぷらやうなぎの蒲焼きをはじめとする和食、カステラやチョコレートなど、スイーツまでジャンルを問わず、料理との組み合わせを堪能できる魅力があります。いつもの食事にシェリーをペアリングすると、これまでにないほど新しい発見があるかもしれません。
6. 文化的な重要性
- シェリーは、スペインのアンダルシア地方に根付いた歴史と文化を感じさせます。クリストファーコロンブスは新大陸への旅にもシェリーを持参し、マゼランは世界一周の航海を準備する際には武器よりもシェリーにお金をかけたと言われています。
シェリーは、そのユニークな風味と多彩なスタイル、そして食事との相性から、ワイン愛好家や料理好きな人々にとって魅力的な選択肢を与えてくれる万能なワインともいえます。なぜなら豊富な種類があり、自分の好みに合わせることができるから。あなたが味わう楽しみをより一層引き立ててくれる立役者です。ぜひ日々の食卓にシェリーを取り入れてみてください。
【ボデガス・バルバディージョ BODEGAS BARBADILLO】
ボデガス・バルバディージョは、1821年に誕生設立され、200年もの間、革新への情熱を持って高品質のワインを作ることに専念してきました。エントリーレベルから、さまざまな賞を受賞し高いポイントを得ているハイレンジのものまであります。今回は、ミドルレンジのものをご紹介してくださいました。ミドルレンジとはいえ、10年という熟成を経ており、すでにカナダや米国でも人気です。バーやホテルなどのカクテルを提供する飲食サービスの場面でぜひ試していただきたいそうです。16ものボデガをもつ彼らは、より一層、日本の市場でのプレゼンスを強化したいと考えています。
生産者:BODEGAS BARBADILLO, S.L.
Instagram:@bodegasbarbadillo
HP:https://www.barbadillo.com/en/
受賞歴
こちらに掲載しきれないほどのボリュームがあります。
商品名:アモンティリャード AMONTILLADO Criadera Selection
原産地呼称:D.O.ヘレス・ケレス・シェリー&マンサニーリャ・デ・サンルーカル
ブドウ品種:パロミノ100%
アモンティリャード:ミル・ペセタスは、サン・ブラスとして知られていた地域の1700年代にさかのぼる建物群内の多くのセラーの一つです。バルバディージョは、1920年にこのムデハール様式のセラーを改修し、ここでアモンティリャードの酸化熟成を始めました。
商品名:パロ コルタード Palo cortado Criadera Selection
原産地呼称:D.O.ヘレス・ケレス・シェリー&マンサニーリャ・デ・サンルーカル
ブドウ品種:パロミノ・フィノ 100%
パロ・コルタード:ラ・サクリスティアは、ラ・カサ・デ・シージャ内の小さなセラーです。このアンダルシア様式の建物は1782年に建てられました。優雅なアーチと柱のムーア風の中庭に隣接しており、存在する最高かつ最も希少なパロ・コルタードのいくつかを保持しています。そのほとんどは100年以上のものです。
商品名:オロロソ Oloroso Criadera Selection
原産地呼称:D.O.ヘレス・ケレス・シェリー&マンサニーリャ・デ・サンルーカル
ブドウ品種:パロミノ・フィノ
オロロソ:ラ・コンパニーアは、1630年にこの地に建てられたイエズス会修道院にちなんで名付けられました。熟成セラーは、1717年に完成した「新しい」教会の内部にあり、カルロス3世がスペインの全領土からイエズス会を追放する50年前に建てられました。バルバディージョは1942年の公売でこの教会を購入し、それ以来、酸化熟成に使用しています。
【スペイン日本ワイン SPAINNIHON WINES, S.L.】
SPAINNIHON WINESは、スペインワインを紹介するエージェントチームです。今回は、アンダルシアに根差した固有品種セレマ種、パロミノ・フィノ種、ガリード・フィノ種などを使用したワインを生産する5 社のワイナリーを紹介してくれました。彼らがサポートする生産者は、歴史あるワイナリーや現地では受賞歴のあるワインなどを手がけるワイナリーでもあります。スペインでは人気のあるレストランにオンリストされていても、日本にまだ輸入されていません。新しいアンダルシアワインとして、スパークリング、フレーバードワイン、1.2年前にできたばかりの地域初になるアイスワインなど珍しい味わいが並んでいました。オレンジのフレーバードワインは、セビージャのビターなオレンジの実や皮を漬け込んでつくられ、その風味の存在感は圧倒的です。ご紹介のワインは、レストランのジャンルを問わず、さらにご家庭でも楽しんでいただけるようご紹介したいとのことでした。
SPAINNIHON WINES(紹介されていた5社の生産者は以下に)
HP: http://www.spainnihonwines.com/ja
Instagram:@spainnihonwines
商品名:Nerinea
原産地呼称:D.O. コンダード・デ・ウエルバ
Vino joven seco
ブドウ品種:サレマ100%
容量:750ml
生産者 Bodegas Vega Menacho
大西洋から 35 km に位置し、サレマ種を栽培するワイナリー
商品名:Piu Amphora
Vino Tinto
ブドウ品種:ガルナッチャ100%
容量:750ml
生産者:Bodegas Tierra Savia
アンダルシア北部にあるカザラ・デ・ラ・シエラでアンフォラで発酵する赤ワインをつくっている
商品名:Orange Duque de Carmona
ブドウ品種:ガリード・フィノ 75%、モスカテル 25%
Vino Aromatizado con Naranja
容量:750ml
生産者:Bodegas Góngora
15世紀半ばから続く、歴史あるワイナリー
商品名:Carámbano
Vino de hielo
ブドウ品種:マスカットオブアレキサンドリアとサレマ
容量:750ml
生産者:Bodegas Privilegio del Condado
1955年に設立されたアンダルシア最大のワイン協同組合のひとつ
商品名:Clavellina
Vino Rosado
ブドウ品種:シラー100%
容量:750ml
生産者:Bodegas Contreras Ruiz
ドニャーナ国立公園近くにあり現在は四代目がワインを手がけている歴史あるワイナリー
シェリーを求めて、現地にも足を運んでいるスペインバル ソルマヨール (@solmayor_kitasenjyu)の渡邊さん。シェリーが少しずつ広がってきたのに、少しもったいないと思っているそうです。なぜなら為替や値上げの影響から、止むを得ず輸入控えなどが起こってきているから。食前や食後酒としてだけでなく、食中にペアリングでいろいろ楽しんで欲しい、一人でも多くシェリーを楽しんで欲しい。そんな気持ちから、お店ではハーフサイズなどさまざまな種類を揃えてくださっているとのこと。
情熱スパニッシュ西荻窪アピエ(@spanish_nishiogi_apie)の納堂さんとBar de ollaria(@bar_de_ollaria)の青木シェフ
〜青木シェフがベネンシアドールになったきっかけ〜
ベネンシアドールになる前にヘレスに行く機会があり、ボデガの見学をした際に現地でのシェリーに対する思いに触れ、感銘を受けました。
そこで最初に思ったことは「日本でももっとたくさんシェリーを飲んでもらいたい!」ということ。自分が料理人なので他のベネンシアドールとはちょっと違うシェリーの売り方もできるのではないかと思いました。であれば、資格をもつ方がやりやすいと考え、日本でベネンシアドールの資格を取得しました。さらにいろいろな方の協力もあってバルバディージョの公認ベネンシアドールにもなれました。その理由は個人的に大好きなボデガでここのシェリーを日本のお客様にたくさん飲んでもらいたかったからです。
・最後に
アンダルシア産ワインについて、2週に渡り生産者の取材レポートをお届けしました。筆者が実感したことは、前回の記事でも触れましたが、すでにスペイン国内、ヨーロッパや世界で多くの人に選ばれていても、日本においては「まだ出会えていない魅力的なアンダルシア産ワイン」があるということです。なかでも今回は、「シェリーをもっと知って欲しい」と、共通の想いをもつシェフやソムリエの方々が少なくないこともわかりました。
先の渡邊さんも話していたように、シェリーについて以下のイメージを持っている方が多いと感じているそうです。
・シェリーは、食前酒であり食後酒
・シェリー酒は甘い、度数が高い、酔いやすい
では、そのイメージが先行してしまうのはなぜか?
「シェリーの説明がしづらく、一般的なワインより売りにくのではないか」とは、お店でシェリーをご紹介しているソムリエ納堂さんのコメント。食事に合わせ、さまざまな辛口のシェリーを選び、もっと多くのペアリングを楽しんで欲しいそうです。また熟成させたワインであるシェリーは、度数が高くても悪酔いしづらいという、嬉しい情報も教えていただきました。
たしかに実際のところ、シェリーをテイスティングするたびに、バラエティの豊かさに驚かされます。
シェフである青木さんが、スペインでベネンシアドールとして認定を受けるまでに至った理由は、先にお伝えしたとおりです。ソムリエやシェフというワインのプロフェッショナルほど「その魅力を知ってしまう」確率が高く、素晴らしいと実感するたびに「お客さまに知ってほしい」という思いが増えているのかもしれません。
スペイン料理、さらに和食や中華などジャンルを超えた食事に合わせることができるほど、懐の広さをもつシェリー。
いつもの料理にシェリーを合わせてみることが、新しいペアリングの発見につながることは間違いなさそうです。
改めて、これからシェリーを含む「アンダルシア産ワイン」の魅力をますますご紹介したいと考えています。スペインワインと食協会では、皆さんと日本で楽しむ「スペインワインと食」の充実につながるよう、今後も取材を通してお伝えしていきます。
Agencia Empresarial para la Transformación y el Desarrollo Económico
スペイン・アンダルシア製品輸出促進公社
Andalucía TRADEは、スペイン南部アンダルシア州政府の経済科学技術省が管轄している公的機関で1985年の設立以来、同州製品普及の為に世界各国にオフィスを設け、様々な貿易プロモーション活動をしております。(Andalucía TRADE HPより)

【参考文献】
「スペインワイン図鑑」原書房 2015
Sherry~樽の中の劇場/Duende en la Bota 株式会社スペクトラム・コミュニケーションズ 2017
スペインワインと食協会 加藤智子
福岡県生まれ。1997年より「食」の世界において、調理師、パテシェ、サービス、コーディネイト、企画、広報、PRまで幅広く経験。2009年スペイン産オリーブオイルに一目惚れし「食で毎日をもっと嬉しく、人生をもっと楽しく」をテーマにLA PASION(ラパシオン)設立。2011 年「スペインワインと食協会」設立。スペイン食品の輸入・販売、オリーブオイルティスティング講師、PR、編集、執筆を行う。JOSAオリーブオイルソムリエ、調理師。
