【現地レポート】バルセロナワインウィーク(BWW)2023 「高品質スペインワインの国際見本市 」

By 9 February, 2023EVENT REPORT, MEDIA, NEWS, SPAIN, WINE
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【現地【レポート】バルセロナワインウィーク2023(BWW)「高品質スペインワインの国際見本市 」

こんにちは、スペインワインと食協会の原田です。今年で三回目となる、高品質スペインワインの見本市「バルセロナワインウィーク(BWW)」が、2023年2月8日、大成功のもと幕を閉じました。

スペインのすべてのワイン生産地域からワイナリー828 (前回の 2022 年より 27%増) 70 の保護原産地呼称(DOP)が出展。スペインワイン生産者と国内外のバイヤー間で、 実に8,000 近くの商談が行われました。また、ワイン業界で世界を股にかけて活躍するマスター・オブ・ワイン、醸造家、ソムリエ、シェフ、ワインジャーナリストをスピーカーに迎えた 50をこえるプログラムにより、高品質スペイン ワインの見本市としての地位がより強化された印象を受けました。

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熱気溢れる高品質ワイン見本市「バルセロナワインウィーク(BWW)」
80カ国からワインバイヤーが集結

初日の2月6日から、会場はたくさんのバイヤーで溢れ、再会や、新しいワインとの出会いの喜びに、ものすごい熱気に包まれていました。

プロ限定のこの見本市の来場者は約20,000 人以上。そのうち、20% は 80カ国から来場した外国人。アメリカ、ドイツ、イギリス、ブラジル、日本、中国など、スペインワインの重要な輸出国から、組織はワインバイヤー600人以上を招待し、国外バイヤーはその間に予定された約 8,000 の商談に参加しました。
参加したインポーターや国内の卸業者、飲食店とワイナリー間との取引をはじめ、「バルセロナ ワインウィーク(BWW)」による経済効果は約 1,200 万ユーロと見積もられています。

バルセロナという魅力あふれる都市で開催されるBWWは、これから益々国際的で、重要な高品質スペインワイン見本市のベンチマーク的存在となる可能性を強く感じました。

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BWW会長ジャビエ・パジェス氏 は語ります。

「今回の見本市は、スペインのワイン業界に携わるすべてのプロフェッショナルにとって、最高のミーティングポイントとしての地位を確立しました。
BWWは、スペインワインの品質、品種、多様性を国際的に発信する、個性あふれるビジネスとプロモーションのプラットフォームです。」

BWW会長 ジャビエ・パジェス氏

185,000 杯以上のワインを試飲

BWW では、各出展者のスタンドでの試飲と、50以上のプログラムでの試飲を含めて、185,000 杯以上のワインが提供されました。 世界の第一線で活躍する著名なマスター・オブ・ワインやワインメーカー、ソムリエやジャーナリストが、興味深いさまざまな テイスティングやプレゼンテーションセミナーを行いました。

ワイン評論家ティム・アトキンMW
“リオハ 2023 スペシャル・レポート”発表

国際的に有名なワイン評論家ティム・アトキンMWが、待望の「リオハ 2023 スペシャル・レポート 」を発表しました。トップに輝いたリオハワインの映像を、ティム・アトキンMWのInstagramからご紹介します。

スペインレストラン認定プログラム“Restaurants from Spain”が
英国で最高のスペイン料理とワインリストの後押しとなる可能性


BWW Hub
スペースでは、スペイン貿易投資庁(ICEX) の協力のもと、スペインレストラン認定プログラム“Restaurants from Spain”※の認定レストランとのフォーラムが開催されました。

ICEXの食品部門のディレクター マリア・ナランホ氏は 、世界のスペイン料理店で”スペインレストラン認定プログラム”の影響が拡大しつつあることを強調しました。
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カサ・マルシアル (Casa Marcial ** ミシュラン) のシェフであり、イベリカ・レストラン・アンド・カミノ グループ (ロンドン) のガストロノミック・ディレクターである ナチョ・マンサノ氏と、ロンドンで 6 つのレストランを所有し、BBC の協力者である ホセ・ピサロ氏 が登壇。今やスペインの親善大使ともいえるオート・キュイジーヌ(高級料理)と高品質なスペインワインの可能性と、スペイン製品の利点について語りました。

ホセ・ピサロ氏がロンドンに渡ったのは1999年。その頃のロンドンでは、ほぼ誰もスペイン料理を知らなかったそうです。ピサロ氏がハモンセラーノ(スペイン産の生ハム)の原木をスペインから持ち込みカットして食べてもらったら、みんなものすごく感動したそうです。またその頃のロンドンでは、スペイン産エキストラ・ヴァージン・オリーブオイルは、薬局で高価な値段で販売されていました。何に使っていたかというと”耳掃除”だそう。シェフは、ようやくありつけた人生で一番高かったオリーブオイルを食べたら、思い切り酸化していてショックだった、というエピソードを話してくれました。たった2,30年前のロンドンにも、スペイン産の高品質な食材が普及していなかったことに驚きます。

司会をつとめたジャーナリストでソムリエのシャーロット・ヘイ氏の、

「ロンドンでタパスやパエリアなど、スペイン料理店のブームが続いているが、今後どうなると思う?」

という問いに、ピサロ氏は高品質なスペインの食材やワインの価値を強調し、これからますます定着していくだろうと語りました。

左からナチョ・マンサノ氏、フェルナンド・ゴンザレス氏、ホセ・ピサロ氏

ロンドンで活躍する二人のようなスペイン人シェフの存在のおかげで、スペイン料理のイメージは、ただの安いパエリアではなくなり、ロンドンは世界で最も一流のスペインレストランがある都市の一つになったそうです。スペインワインといえばテンプラニーリョしか知られていなかったのに、今ではDO(原産地呼称)の存在のお陰で、さまざまな産地のワインが整理され、ワインリストから選ばれるようになったそうです。日本の東京、大阪をはじめとした大都市も、ロンドンと同じような歩みをたどっていると思いました。

ミシュラン二つ星のシェフ ナチョ・マンサノ氏は、スペインレストラン認定プログラム“Restaurants from Spain”について、

「まだはじまったばかりで、英国でもそんなに知名度はないけれど、今後我々のような認定レストランが活躍することで“Restaurants from Spain”の知名度も価値もこれから上がっていくだろう」と述べました。

マドリード、ロンドンでホテルや飲食業界で活躍する登壇者すべて、コロナ禍以前の状況に100%戻ったと、口を揃えて言っていました。

「みんな物よりも”経験”にお金を払いたくてうずうずしている。
これから、スペイン国外のスペイン料理店が盛り上がるには、やはり本国スペインでのすばらしい旅行の思い出や食体験が大切」

と、ピサロ氏が語っていたのが印象的でした。

フランスに次ぐ観光立国スペイン。人気の理由に、バスク地方をはじめ、各地方それぞれの高い食文化が挙げられます。世界中から訪れる観光客がスペインレストランやバルで、スペイン料理とワインを味わい、ワイナリーを訪れる。そんな”経験”をたくさんの人にしていただくことによって、一過性のブームではなく確実に、“Restaurants from Spain”の認定レストランと共に、世界中に定着していくのではないかと思える、希望に満ちたフォーラムでした。

※スペインレストラン認定プログラム“Restaurants from Spain”は、スペイン貿易投資庁(ICEX)がスペイン国外で、高品質なスペイン料理を提供するレストランを認定するプログラムとして2020年にスタート。

BWW likes the city!

フーディーにとって嬉しい試みはなんと言っても「BWW likes the city!」です。バルセロナを代表する3つ星レストラン「ABaC」、マンダリンオリエンタルホテルの二つ星「Moments」をはじめ、シッチェス、プリオラート、モンブランなどバルセロナ郊外のワイン産地の人気レストランがコラボレーションし、スペシャルコースとスペインワインのマリアージュなど、さまざまな食体験が楽しめます。「 BWW likes the city!」により、BWW は見本市だけでなく、街にワインを浸透させることで、輸出、文化、観光産業とも提携し、スペインワインを盛り上げています。

★BWW likes the city!コラボレストランの詳細はこちら

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来年のBWWは、2024年2月5〜7日開催予定

Alimentaria Exhibitions 社を通じて Fira Barcelona が主催する BWW は、スペイン ワイン連盟 (FEV)、農水産食品省 (MAPA)、スペイン貿易投資庁(ICEX)の支援を受けています。 次回は 2024 2 5 日から 7 日まで、同じくフィラ デ ・バルセロナ・モンジュイック会場で開催されます。

これからも、BWWについて、スペインワインと食協会でレポートしていきますので、どうぞお楽しみに!

バルセロナワインウィーク公式サイト
BWW Official site

BWW Official site(バルセロナワインウィーク公式サイト)

#BarcelonaWineWeek2023

スペインワインと食協会 原田郁美

山口県出身。広告代理店でデザイナーとして勤務後、渡西。3年間のバルセロナ生活でスペインワインと食の魅力に取り憑かれ帰国後「日本とスペインをつなぐ架け橋」を目指し独立。2011年「スペインワインと食協会」設立。2012年に再び渡西。プリオラートでワインづくりとともに輸出サポート・ワインプロモーション全般、デザイン、執筆を行う。WSET ® Level 3 。

Periodista de AGE Ikumi Harada

Co-presidenta y  periodista de la AGE, que se dedica a apoyar a los productores de vinos españoles para promocionar sus productos en el mercado japonés. Se mudó a España en 2012. Actualmente ofrece un “Servicio Puente” con el cual apoya la exportación de vinos y alimentos españoles a Japón, se encarga de hacer la traducción e interpretación relacionada con vinos españoles, el diseño y la promoción.WSET ® Level 3