【レポート】未輸入の逸品に出会う:バリャドリードワインの深い魅力

【レポート】未輸入の逸品に出会う:バリャドリードワインの深い魅力

Tomoko Kato    Tokyo 11 October ,2024

2024年9月17日に東京、9月18日大阪にて、ワインビジネス従事者を対象にスペイン北西部カスティーリャ·イ·レオン州の州都バリャドリードのワイン試飲商談会およびテイスティングセミナー開催されました。

主催:バリャドリード県議会·バリャドリード商工会議所、運営:日西商業会議所·Mr.WINESによる、スペイン北西部に位置するカスティーリャ·イ·レオン州の州都、バリャドリードで生まれた豊かなワイン文化を、日本の市場に紹介する特別な機会です。

この地域のワイン作りの歴史はローマ時代にまで遡り、とくに近年は、国際的にも高く評価されています。Ribera del DueroやRueda、Cigales、Toro、 Leónといった名だたる原産地呼称(D.O.)に加え、カテゴリーの異なるVino de PagoやIGP Castilla y Leónなどが紹介される希少なひととき。日本ではまだ未輸入の逸品も紹介されました。どのワインも、それぞれの地域ならではの土壌や気候が生んだ個性が際立ち、まさに「土地の味」を楽しむことができました。

今回は、17日のワイン試飲会@アカデミー·デュ·ヴァン 青山校をレポートします。


 

 

 

試飲会のハイライト

BOUTIQUE WINES  (ブティック・ワインズ)  

1.  BOUTIQUE WINES (ブティック・ワインズ)

ブティック·ワインズは、「情熱と伝統をもって作られた多様なワインを世界に輸出する」という共通の目的のもとに、複数の家族経営のワイナリーを結びつける革新的なコラボレーション·プロジェクトです。このプロジェクトは、土着品種を用いたワインの生産に専念する、小規模で持続可能なワイナリーの、戦略的な連携から生まれました。長年のワイン造りの経験、品質へのコミットメント、環境への配慮が、各ワイナリー共通の約束です。その約束のもと、国際市場に対して、土地の特徴と歴史を反映したユニークなワインを提供しています。D.O.ルエダ、D.O.トロ、D.O.レオン、D.O.Ca.リオハなど、ブドウ品種やタイプの異なる様々なワインをご紹介します。

WEB          https://spanishboutiquewines.com/ 

Instagram  @spanish_boutique_wines

インポーター (株)サス

(*TAMPESTA、TAMPESTA ROBLEは、(株)サスさんにお問い合わせください)

SPECIAL WINES-SPAIN (スペシャル・ワインズ – スペイン)

 2. SPECIAL WINES-SPAIN (スペシャル・ワインズースペイン)

スペシャル·ワインズースペインは、2015年にリベラ·デル·ドゥエロ「マルカラクテル」の醸造を始めました。その目的は、リベラ·デル·ドゥエロのテンプラニーリョを飾ることなく、ありのままに、そして祖父母が造っていたのと同じように、世界に紹介することでした。数年後、醸造家のロサ·サルサと共に、D.O.トロで、100%テインタ・デ・トロを使用した赤ワイン「ティンタ・ロサ」のプロジェクトを開始しました。その後、D.O.ルエダの「マルカラクテル·ベルデホ」も発売しました。スペインワインをより深く知っていただくために、スペインワインの主要な産地とブドウ品種を選び、ユニークなワインをご紹介しており、現在、ヨーロッパとアメリカに輸出しています。

WEB          https://specialwinesspain.com/  

https://malcaracter.wine

https://tintarosa.wine

Instagram  @malcaracterwines

JAVIER SANZ VITICULTOR(ハビエル·サンス·ヴィティクトール)

 3. JAVIER SANZ VITICULTOR(ハビエル·サンス·ヴィティクトール)

ハビエル·サンス·ビティクルトールは、家族経営のワイナリーで、その哲字のベースは、「歴史、伝統」と「革新、サステナビリティ」の共存にあります。ワイナリーの名前を冠した様々なワインを通して、その哲学を表現しています。彼らが造るワインは、絶滅寸前のブドウの遺伝子研究や未知の品種を使ったワイン造りに取り組んできた、4代目であるハビエル·サンスと彼の経歴へのオマージュでもあります。そして、150年以上の歴史を持つワイナリーが大切にする価値感である、「家族、土地、愛情」を再認識できる賜です。

WEB               https://www.bodegajaviersanz.com

Instagram    @bodegajaviersanzviticultor

インポーター (株)パナバック

BODEGAS PEÑAFIEL(ボデガス·ペニャフィエル)

4. BODEGAS PEÑAFIEL(ボデガス·ペニャフィエル)

ボデガス·ペニャフィエルは、スペインのリベラ·デル·ドゥエロ地方を代表するブティック:ワイナリーです。2001年の設立から、完璧な醸造学とテロワールへの敬意を体現してきました。ティンタ·フィナ種に焦点を当て、卓越した畑で手塩にかけてブドウを栽培しています。リベラ·デル·ドゥエロの中心部、ゴールデン·マイルという最高の環境にあり、ワイン造りという芸術をより良い形で表現し届けられるよう、日々努力を続けています。畑の標高は750~900メートル、安定した熟成過程となるこの地方の温度変化が、ワインに素晴らしいフィネスとエレガントさを与えます。石灰岩と粘土質の土壌と下層の栄養も、ワインの味わいに痕跡を残します。

WEB              http://www.bodegaspenafiel.com/

Instagram @bodegaspenafiel

BODEGAS EPIFANIO RIVERA / ERIAL(ボデガス・エピファニオ・リベラ/エリアル)

5. BODEGAS EPIFANIO RIVERA / ERIAL(ボデガス・エピファニオ・リベラ/エリアル)

ボデガス·エピファニオ·リベラは、齢100年以上の古木を有する、家族経営のワイナリーです。ペスケラ·デ·ドゥエロに位置し、伝統的なワイン造りと最新のテクノロジーを融合させながら、広く認められる高品質なワイン造りに焦点を当てています。リベラ·アパリシオ家は約100年間保存されてきた、地域でも最も貴重で古いブドウ畑をいくつか所有しています。全てのブドウ畑は、ペスケラ·デ·ドゥエロの最も名高く優れたエリアに位置します。そのうちの一区画である「エリアロン」は、ワインの名前の由来にもなっており、このテロワールの高い表現力が、ワインに複雑さと独自の特徴を与えています。合計25haのブドウ畑の中には、80年以上の樹齢を持つ区画もいくつかあり、自然環境に最も調和した伝統的な方法で栽培されています。

WEB             https://www.epifaniorivera.com/en/

Instagram   @bodegasepifaniorivera.erial

BODEGAS FRUTOS VILLAR(ボデガス·フルトス·ビジャル)

6. BODEGAS FRUTOS VILLAR(ボデガス·フルトス·ビジャル)

ボデガス·フルトス·ビジャルは、1920年、トロに設立された家族経営のワイナリーで、D.O.トロの中で最も歴史あるワイナリーの1つです。シガレス、リベラ·デル·ドゥエロ、ルエダなど、カスティーリヤ:イレオン州の他のエリアにも醸造所を所有しており、伝統に基礎を置きながらも、最新の技術を取り入れたワイン造りを行っています。同社のワインは、コストパフォーマンスの高さに定評があり、そのほとんどが著名なワイン評価紙で90点以上の評価を受けています。ボデガス·フルトス·ビジャルは樹齢によってブドウを使い分けており、その赤ワインは、濃厚な色と、凝縮感のある果実味が特徴です。

WEB              https://www.bodegasfrutosvillar.com/es/

Instagram   @bodegas_frutos_villar

インポーター 株式会社 正光社

Instagram  @sunseikowines21

正光社さんがワイン事業部を立ち上げの際から日本に輸入しているワイナリーとのことで、トップの人気を誇るワイナリーだそうです。輸入の決め手は「トロらしさ、Ribera del Dueroらしさに惹かれました」と、話してくださった原田さん(写真:右)

ALMA LÓPEZ WINES(アルマ・ロペス・ワインズ)

7. ALMA LÓPEZ WINES(アルマ・ロペス・ワインズ)

アルマ·ロペスは、キンタニーリャ·デ·アリバにある家族経営のワイナリーで、リベラ·デル·ドゥエロの「ゴールデン·マイル」に位置しています。この地域の中でも、高品質のワインを生産するために最も恵まれたエリアです。1999年からオーガニック栽培に取り組み、伝統的な職人技術を尊重し2つも、新しい知識を導入し、サステナブルなブドウ栽培と醸造を行っています。海抜約900メートル前後に位置する20 ha.のブドウ畑は、区画ごとに土壌や標高が異なり、傾斜や棚田になっています。それにより、まざまなタイプのワインを造ることができます。アルマ·ロペスが造るのは、この土地や文化の最高の広報大使として、しっかりした個性とキャラクターを持った、本物で誠実、心を動かすワインです。

WEB              https://almalopezwines.com/

Instagram  @alma_lopez_wines

BODEGAS ERESMA(ボデガス・エレスマ)

8. BODEGAS ERESMA(ボデガス・エレスマ)

ボデガス·エレスマは、歴史的な町オルメドの麓、エレスマ川のほとりにあります。2006年、成長への希望と情熱が、醸造家アニバル·アセンシオ·パウネ口をこの冒険へと突き動かし、長く実り多いこのプロジェクトが始まりました。45ヴィンテージの収穫を経たアニバルの経験と、深く根付いた家族の伝統が、そのボトル1本1本に反映されています。アニバルは40年以上に渡り、原産地呼称ルエダに全身全霊を捧げてきました。D.O.ルエダ内の様々なエリアに自社畑を持ち、大部分のワインを自社のブドウから造ります。それに加え、地元栽培農家と密な関係を築き、彼らのブドウを買い取ることで、周辺の農村地域の発展にも貢献しています。

WEB               https://bodegaeresma.com/

Instagram    @bodegaeresma

 

BODEGAS RESALTE

9. BODEGAS RESALTE (ボデガス・レサルテ)

ボデガス·レサルテは、各々のブドウ畑の特徴を生かし、醸造や熟成の行程を特別に設計した、高品質なワインを作るという哲学のもとに誕生しました。レサルテは、リベラ·デル·ドゥエロの中心地であるペニャフィエルに位置しています。ボデガス·レサルテの重要な2つの軸は、「可能な限り最高のブドウを確保すること」と、最高のワインを得るための「全てのプロセスにおける、絶え間ない革新」です。これは、ブドウの木の手入れ、重力による収穫、非常に可寧な発酵、そして伝統的な樽熟成とコンクリートや粘土などの新しい熟成方法の組み合わせなどを指します。主に赤ワインにはテンプラニーリョ種、白ワインにはアルビーリョ·マヨール種を使用します。熟成の過程が、土着のブドウの特徴を引き立てる役割を果たし、テロワールが際立つワインに仕上がります。

WEB               https://resalte.com/en/

Instagram   @bodegasresalte

BODEGAS VIZAR(ボデガス・ビサル)

10. BODEGAS VIZAR(ボデガス・ビサル)

デサエ·ペニャルバ (ボデガス・ヴィサル)は、「ドゥエロのゴールデン・マイル」に位置し、2022年、ドゥエロ川流域で初めて、ビノ·デ·パゴに認定されました。ビノ·デ·パゴは、スペインの法律で最高の格付けであり、土壌、気候、立地条件などにより、類まれなワインを生み出す25のワイナリーにのみ与えられています。

ボデガス·ビサルは、14世紀から続くワイン造りの芸術を守り続けています。

それは、この土地に敬意を表し、大切に守りながら、ワインという最高の大使を通じてその魅力を伝えたいという思いに基づいています。

2017年からはオーガニック栽培の認証を受け、薬品や化学肥料を使用しない、持続可能なブドウ栽培を実践してきました。

ドゥエロ川を始めとした固有の自然環境が独特の微気候を生み出しており、そのテロワールをワインにしっかりと表現しています。

WEB                 https://www.bodegasvizar.es

Instagram  @bodegasvizar

*各ワイナリーのご紹介文は、当日配布された「ワイナリー紹介・ワインリスト」より抜粋させていただきました。

 

主催

・バリャドリード県議会

WEB            https://www.sede.diputaciondevalladolid.es/web/guest

Instagram    @dip_valladolid

・バリャドリード商工会議所

WEB                https://www.camaravalladolid.com/

Instagram    @cam_valladolid

 

運営

・日西商業会議所

https://camarajaponesa.com/ja/

・Mr.WINES

WEB              https://www.misterwines.com/ 

スペインワインと食協会 推奨レストランでもある東京・市ヶ谷の「Tinc gana(ティンガナ)」@tinc_gana_tokyo

シェフソムリエ菊池貴行さん@takayukikikukikuchi(右)

・最後に

バリャドリードのワイン試飲会は、産地がもつ個性が、1本1本のワインに鮮明に表れており、日本でまだ知られていない生産者やワインにも出会える機会となりました。今回、参加したことで、ワインへの理解がさらに深まってきた気がしています。ぜひ日本でも多くの人に試してもらいたいと強く感じました。

一つひとつのワインには、作り手の情熱と歴史が詰まっていました。例えば、リベラ·デル·ドゥエロのボデガス·ペニャフィエルが手がけた赤ワインは、石灰岩の豊かな土壌と、寒暖差の激しい気候が生んだ濃厚なボディが特徴です。その味わいは、まるでスペインの大地そのものを感じさせる深みがありました。また、ルエダ地方のハビエル·サンツ·ヴィティクルトールが提供した白ワインは、ベルデホ種特有の新鮮なハーブの香りが印象的で、口に含むとまるでそよ風が吹き抜けるような爽やかさが広がりました。さらに、ボデガス·エピファニオ·リベラが手がける「エリアル」の赤ワインは、100年以上の古木から収穫されたブドウが生む、奥深い味わいが特徴です。このワイナリーは、代々受け継がれてきた家族の伝統と最新技術を見事に融合させた、まさに時代を超えた一杯と言えるでしょう。

試飲会を通じて改めて感じたのは、バリャドリードのワインが持つ多様性と奥深さです。ひとくちごとに新たな発見があります。プロフェッショナルの間では既知であっても、一般の方々にはまだ広く知られておらず、知る人ぞ知るワインと言えます。だからこそ、彼らの情熱と技術が詰まったワインが知られる暁には、必ずや日本のワイン愛好家たちの心を掴むにちがいありません。繰り返しますが、ワインの多様な魅力に触れる貴重な機会となりました。生産者と直接話をし、彼らの物語を聞きながら試飲できることで、ワインそのものへの理解も深まりました。ぜひ、多くの方々にこの素晴らしいワインたちを味わってほしいと強く感じています。

スペインワインと食協会 推奨レストランとしてもご紹介のCOMEDOR MONRICO(コメドール モンリコ)@monrico_tokyo_tamachiの吉田さんとスタッフの方。

スペインワインと食協会とは

スペインワインと食協会は、「スペインワインと食文化を囲み、高品質なスペインの魅力を皆さまと体感すること」を原点に、一過性ではないスペインブームを築く活動をしています。今後もスペインワインと食を真ん中に、新しい取組みや情報をご提供して参ります。

スペインワインと食大学運営 スペインワインと食協会(日本事務局/(株)LA PASION加藤 スペインオフィス/原田)

WEB:spainwinefood.org E-MAIL: info@spainwinefood.org

 


スペインワインと食協会プロデュース「スペインワインと食大学」とは

企業と一般の人々のプラットホームとなるオトナの学び場「スペインワインと食協会(=スペ食大学)」を開催しています。

多くの人に知られていない「スペインワインと食」を見る、聞く、味わう、体験と、五感を使い楽しみながら、その業界の一流講師による貴重な講義を体験できます。ここでしか得られないリアルイベントならではの仲間との出会いは一生の宝物です。

「スペインワインと食」に関する情報を、日本とスペインから、イベントの告知も含めて発信してまいります。最新情報をいち早く知りたい方は、毎週金曜日に配信しているスペインワインと食協会のニュースレター「LOHASPAIN」をご活用いただけたら幸いです。無料購読はこちらから

スペインワインと食協会 加藤智子/ PERIODISTA DE AGE TOMOKO KATO

福岡県出身のフードジャーナリスト。1997年からシェフ、パティシエ、ワイン販売など多岐にわたるポジションを経験。レストラン「アクアパッツァ」広報・PRとして活躍した後、スペイン食材輸入専門のLA PASION[現:(株)LA PASION]を立ち上げ、2011年には「スペインワインと食協会」を設立。オリーブオイルを取り入れたライフスタイルを提案し、テイスティング・食育講師としても活動。2016年からフードジャーナリストとして執筆も手がける。毎週配信のニュースレターに読者が増え続け、企業や行政からスペインワインと食関連の取材依頼が殺到している。「LOHASPAIN」WEBマガジン編集長。オリーブオイルソムリエ®。