大人の社会見学:バスク・クリナリーセンター
ピンチョスバルのはしご!
ミシュランの星付きレストランでアルタ・コシーナのフルコース!!
シドレリアで樽出しのシドラと伝統的なバスク料理!!!
とまあ、食の楽しみには事欠かない美食の街サン・セバスティアン。
でも、この小さな街の食に対するパッションと進化の秘密を知ろうとするなら、バスククリナリーセンター訪問はマストです!
バスククリナリーセンター(BCC)は、サンセバスティアン郊外にある料理科単一の4年制大学。食科学の中でも調理に重点が置かれ、かつ学位も取れる大学としては、アメリカ・カリフォルニア州のThe Culinary Institute of America(CIA)が有名ですが、ヨーロッパでは、ここBCCが唯一の学府です。
設立は2011年。ユニークなのは、バスク自治州の企業組合と公的機関、世界の名だたるトップシェフらの支援によって財団が設立され、運営にあたっていること。そのため、単にプロの料理人育成のための教育機関というだけではなく、商品開発を含む食のビジネスやプロジェクトを推進するための調査・研究機関としての役割も果たしています。
大学があるのは市内から車で15分ほど、郊外の丘陵に広がるサイエンスパークの一角。路線バスなら31番か35番に乗って「Intxaurdegi」下車。
校舎は傾斜地の地形を生かしてデザインされた5層階の建物。公開コンペで選ばれた6人の若手建築家グループの設計によるもの。
建物の上階部分は図書館や講堂などのラボが中心。
200人収容の講堂は、壇上に調理台とスクリーンを備え、世界中のトップシェフが調理デモ付きで講義を行う舞台に。客席の一つひとつに電源・ライト付きのテーブルがあり、PCを使いながらの講義や取材もばっちり!
調理実技のためのワークショップルームや食材のストック庫は中階に。「パン」「肉」「魚」「野菜」といった食材別のほか、調理法別のキッチンラボラトリー、「加工食品」「ケータリング」専用の研究室も。それぞれの部屋で、学生たちが真剣な表情で実習中でした。座学と実習の割合は約半々とのこと。
1階・地階はワインや食材など、食品全般の官能分析を行うための研究専用スペース。テイスティングルームはスピット専用のシンクのほか、赤・青・黄の3色を発光するライトも完備。色の違いによって食品の味わいに対する印象がどう変わるかといった、視覚による官能分析もできる仕組み。
再び最上階に上ると、そこには広々としたカフェテリア・レストランスペースが。いわゆる“学食”ながら、一般の人も予約すれば利用は可能。そして、限られた予約席は数ヶ月前から埋まってしまうほどの超人気レストランでもあります。
(注:以下、カフェテリア&レストランの画像は2013年秋に訪れたときのもの)
なぜなら、このカフェ・レストランで調理とサービスを担当しているのは、すべて現役の学生たちだから。一般のお客さんに対して料理とサービスを提供し、リアルな反応と体験を得ることができる、ここはシアビアな実習の場でもあるわけです。
メニューはランチの日替わり定食(12€)とデグスタシオン・コース(24€)、ディナー(39€)の3種類。いずれも上質な素材を使って丁寧に構成し、手をかけて作られている料理たち。ゲストにとっては、未来のスターシェフの卵たちの料理を手頃な価格で味わえるという、“先もの買い”的な楽しみもあります。
ちなみに、学生は約8割がスペイン国内から、残りはラテンアメリカ、ヨーロッパ各国からの留学生が中心だそう。この割合の偏りは、授業のほとんどがスペイン語オンリーによることと関係がありそう。外国人には、さぞかしハードルが高く感じられるはず。国際的な人材を育成するなら、もうちょっとなんとかしたほうがいいのでは?と思わないでもありません。
とはいえ、こんな環境で料理学を究められるのは本当にウラヤマシイ。いいなー、自分も若かったら入学してみたかったもんだ。で、授業料はいかほどですか~?とかる~く質問してみたら・・・ななんと、年間で約8500ユーロとな!! スペインの教育費としては、かなり高額なレベルと言っていいでしょう。在学生は名門レストランのご子息も多いと聞いて、思わずナットクです。
・・・と、最後は下世話な話になってしまいましたが、大人の社会見学としては見どころたっぷりのバスク・クリナリセンター。カフェテリアとレストランはBCCのホームページからも予約できます。
バスク旅行の予定が決まっているなら、半日のエクスカーション候補に加えてみてはいかがでしょうか?
Paseo Juan Avelino Barriola, 101
20009 Donostia-San Sebastián
TEL/ 902540866
協会ライター: 堀越 典子(ほりこし・のりこ)
フリーライター。酒・食・旅をテーマに食の専門誌、一般誌、PR誌などに取材記事を寄稿。取材&休暇でスペインを訪れること20数回。ここ数年はサンティアゴ巡礼、日本酒をスペインに紹介する諸活動が新しいライフワークに。スペイン語による自身のブログEl Sake Bla Blaで日本酒情報を(細々と…汗)発信中。
















