サン・セバスティアンで日本酒を!(その1)
スペイン料理と日本酒、実はとーっても合うんですよ。
と言うと、多くの人はポカンとした顔になります。
個人的に、特に相性がいいと思っている食材は、生ハム、オリーブの実、アンチョビ、青カビチーズのカブレラスなど。
とりわけハモン・イベリコの、それも熟成の旨味がのったベジョータにはSAKE、SAKEですよーっ!
てなことを前のめりになって話していると、たちまち疑わしそうに曇ってくる相手の顔…。
特に、スペインの人ほど抵抗が強いようで、「ハモンにSAKEだ? ふふん」と、人差し指振ってみせる輩もいたりして。
ムキーッ、本当だってば!
リベンジの機会がやってきたのは去る9月、美食の街、サン・セバスティアンにて。
この地で毎年秋に開催される国際映画祭で、今年は日本酒に関連する映画3作品の正式招待が決定。
このうちの1作品「KAMPAI! For the love of sake」に関連して、映画祭と連動した日本酒のプロモーションイベントを企画・催行するチャンスをいただいたのです。

クルサールの夜の顔。 会期中はこんなハレのライティングに。 正面にはレッドカーペットも敷かれています。サンセバスティアン映画祭は「Culinary Zinema」というグルメ映画専門の部門があることでも有名。さすが食の都のシネマ・フェスティバルという感じ。
今回の日本酒イベント のミッションその1は、映画祭事務局からの要請で、上映会前に会場で日本酒をサービスすること。
その後は、市内のミシュラン1ツ星レストラン「Mirador de Ulia」で、招待ディナー用の日本酒のアレンジとプロモーションに。
この夜は、シェフのRubén Trincado氏が、バスクの創作コース料理と日本酒のマッチングメニューを特別に組んでくれることになっていました。
コース料理は、全体に朝採れの野菜をふんだんに使った構成。
日本酒に合わせて繊細な仕立てにしたのね…と思いきや、いやいやどうして、 野菜の味が濃ゆいこと。
たとえば、グリルして皮をむき、ミディアムレア状にしたトマトがメインの前菜。
パレットのようにカラフルな盛り付けですが、グルタミン酸系の旨味がじゅわっと広がるようにバランスされていて、食べてみればなるほど、間違いなくSAKEの肴だわ~な一品に。
吟醸酒には青っぽい葉のフレーバーを感じるから、ハーブのソースをあしらってみたそう。
素材の香りでつなぐ発想は、ワイン的でおもしろいですね。
メインの魚料理。鱸とじゃがいものピュレに、魚介ベースのコクのあるスープをとろりとからませた餡かけ風。
こちらは日本酒のペアリングとしては王道な感じの一皿。
ややボディが太め、ぽっちゃりタイプの純米酒や熟成古酒によく合いました。
100名近いゲストは、メディア関係者、映画関係者、料理および飲食店関係者が中心。
日本酒経験者は全体の7割ほどでしたが、そこは食に関する好奇心・研究心旺盛なプロフェッショナルの皆さん、嬉々として初体験のペアリングを楽しもうとするチャレンジャーぞろい。頼もしいかぎりです。
一方では、製法、原料米の違いは、テロワールは日本酒にとってどんな意味をもつのか、などなど、鋭い質問の集中砲火も。
ただ提案するだけでなく、しっかり説明すること、深く知ってもらうことの必要性を改めて感じました。
ミッションその1は、これにて無事終了。
ただし、1日だけではもったいないので、翌日は市内のバルの協力を仰ぎ、ミッションその2とまいります。
次なる仕掛けのテーマは、ずばり“”ピンチョス×日本酒”。
長くなるので、続きは次回レポートにて!
協会ライター:堀越 典子(ほりこし・のりこ)
フリーライター。酒・食・旅のテーマに食の専門誌、一般誌、PR誌に取材記事を寄稿。取材&休暇でスペインを訪れること20数回。ここ数年はサンティアゴ巡礼、日本酒をスペインに紹介する活動が新しいライフワークに。スペイン語による自身のブログEl Sake Bla Blaで日本酒情報を(細々と…汗)発信中。





