【ハモンイベリコ】究極の味わいの秘密とは〜Reserva Ibérica(レセルバイベリカ)〜

reserva iberica

【ハモンイベリコ】究極の味わいの秘密とは〜Reserva Ibérica(レセルバイベリカ)〜

Ikumi Harada 27 December ,2024

スペインを訪れると、至る所で目にするのが「ハモン(生ハム)」です。グロッサリーストアやレストランに並ぶハモンは、スペイン人の生活に深く根付いた存在であり、その生産量は年間約5000万本。これはほぼ国民1人につき1本に相当します。

スペインにおけるハモンの熟成文化の起源はローマ時代にまで遡り、塩漬けした豚肉を山間部の乾燥した空気で熟成させていたことが記録されています。この伝統が「ハモン・セラーノ(山のハム)」という名前の由来となり、今日では主に白豚を原料とする生ハムを指します。一方、スペインが世界に誇る「ハモン・イベリコ」は、特有の風味と複雑さを持ち、豚の餌や純血度によってさらに細分化されています。

バルセロナでイベリコ豚の生ハムの最高峰「ハモン・イベリコ・ベジョータ」を味わえる専門店といえば、「Reserva Ibérica(レセルバイベリカ)」が真っ先に挙げられます。その創業者であるマヌエル・ロペス氏は、上質なハモンの選び方から切り方まで、奥深い知識を惜しみなく共有してきた、まさにこの分野の第一人者です。

2024年、そんなマヌエル氏が長年温めてきた夢を実現し、「Reserva Ibérica」の隣にレストラン兼食材店「Reserva Ibérica – The Kitchen」をオープンしました。今回はマエストロ(師匠)であるロペス氏に、イベリコ豚の魅力についてじっくりと語っていただきました。

ボケリア市場

ロペス氏は、35年以上にわたり、家族と共にバルセロナのラ・ボケリア市場で、チャルクテリア(食肉加工品全般)と最高級のイベリコ豚を扱う名店を営んできました。その店には、かつて伝説のレストラン「エル・ブジ」や「サンパウ」のシェフたちが、料理に使う生ハムや、その脂や骨を求めて足を運んでいました。今でも、バルセロナで世界1位に輝く三つ星レストラン「ディスフルタール」のシェフたちが訪れるほどの信頼を集めています。ロペス氏は14歳の頃から生ハムのカッティング技術を学び、週に約20本の生ハムの原木をカットする職人として腕を磨いてきました。

 

reserva ibérica

Reserva Ibérica レセルバイベリカ バルセロナ店   Rambla de Catalunya, 61
その他、ウィーン、香港、広島にも支店をもつ

 

2006年に独立したロペス氏は、持続可能で倫理的な飼育を行う職人の生産者とだけ取引しています。彼が選ぶイベリコ豚は、「デエサ」と呼ばれる樫の森オーク林が点在する牧草地で放牧され、どんぐりや自然の草を食べて育てられています。

「私たちは純血のイベリコ豚、特に最高品質のベジョータのみを取り扱っています」と語るロペス氏。その言葉には、品質に対する揺るぎないこだわりと誇りが感じられます。

 

デエサ

デエサは、カスティーリャ・イ・レオン州(サラマンカ県)、エストレマドゥーラ州(カセレス県、バダホス県)、アンダルシア州(ウエルバ県、コルドバ県)、およびカスティーリャ・ラ・マンチャ州(トレド県、シウダ・レアル県)に広がる広大な地域を指します。

デエサは、豚、牛、羊の放牧、穀物栽培、コルク生産、狩猟が行われる複雑でバランスの取れた生態系であり、浸食を防ぎ、景観や動植物を守るために欠かせない存在です。その総面積は約230万ヘクタール(5683万エーカー)に及びます。

ロペス氏直伝、最高のハモンを見極めるための大切なポイント

ハモン・セラーノとハモン・イベリコの違いとは?

スペインの年間ハモン生産量の約90%を占めるハモン・セラーノは、主に白豚(デュロック、ランドレース種など)から作られ、穀物飼料で育てられます。

一方、イベリコ豚はスペイン南西部の「デエサ」と呼ばれるオーク林で放牧され、どんぐりや草を食べて育つヨーロッパ最後の放牧種です。このため、イベリコ肉は霜降りが多く、豊かな風味を持ち、ハモン・イベリコはその脂肪の質と風味において高く評価されています。

レセルバイベリカ

「良いハモンを見極めるためには、いくつかのポイントに注意を払う必要があります」とマエストロ・ロペス氏は語ります。

「まず、ハモンの形に注目してください。純粋なイベリコ豚のハモンはスリムで、丸みが少なく洗練された印象を与えます。特に足首が細いかどうかを確認することが重要です。細くシャープな足首は、純血を示す証拠です。」

次に、脂の質にも注目することが大切です。イベリコ豚のハモンの脂はしっとりと輝き、品質の証となります。
「豚が食べるものにより、ハモンの品質が決まります。最後の数ヶ月、豚は1日に最大10kgのベジョータ(どんぐり)を摂取し、その結果、脂にはオレイン酸が豊富に含まれます。オレイン酸は、イベリコ豚のハモンに特有の滑らかで溶けるような食感を作り出します。」

さらに、ハモンの脂肪に指を軽く押してみることも大切です。「もしハモンが室温で汗をかき、脂肪を押すと指が簡単に入るようなら、それは高品質の証です」とロペス氏は補足します。「上質なイベリコの脂は22度で溶けますが、普通のものは30度になるまで溶けません。この微妙な温度差が、口の中でのとろけ具合に大きな違いを生み出します。」

イベリコ豚の品質ラベリングシステム

イベリコ豚の純血度と飼育方法を消費者がより簡単に識別できるように、色分けされたラベルシステムが導入されました。

マヌエル・ロペス
  • 黒ラベル
    100%純血イベリコ豚で、ドングリ主体のモンタネーラ飼育期間中に初期体重の少なくとも50%を増やし、商業飼料を一切与えられていない豚を指します。このラベルには「Jamón de Bellota 100% Ibérico」という表記が付きます。
  • 赤ラベル
    同じくドングリ主体のモンタネーラ飼育を受けていますが、100%純血ではないイベリコ豚を指します。これらの豚は75%または50%の純血度で、その割合はラベルに明記されます。このラベルには「Jamón de Bellota Ibérico」という表記が付きます。
  • 緑ラベル
    主に穀物と豆類を与えられながら、デエサでドングリを含む自然な餌を食べて育てられた豚を指します。このラベルには「Jamón de Cebo de Campo Ibérico」という表記が付きます。純血度については、100%、75%、50%のいずれかが可能であり、赤ラベル同様、具体的な割合が記載されます。
  • 白ラベル
    デエサで飼育されず、ドングリを食べることなく、商業飼料だけで育てられた豚を指します。このラベルには「Jamón de Cebo Ibérico」という表記が付きます。純血度は100%75%50%のいずれかで、赤や緑ラベルと同様に具体的な割合が明記されます。なお、白ラベルのハモンはPDO(原産地名称保護)認証の対象外です。
"レセルバイベリカ"のレストラン開店「ザ・キッチン(Reserva Ibérica - The Kitchen)」@バルセロナ
レセルバイベリカ

マヌエル・ロペス氏が手掛けるレストラン「Reserva Ibérica – The Kitchen」は、バルセロナのアシャンプラ地区、アラゴン通りに位置するスタイリッシュな空間です。ここでは、純血のイベリコ豚を使用したさまざまな料理が楽しめるだけでなく、その美味しさを引き立てる、Reserva IbéricaオリジナルのCAVA、そして厳選シェリーやワインも揃い、食の楽しみが一層深まります。

レセルバイベリカ ザ・キッチン

「Reserva Ibérica – The Kitchen」では、イベリコ豚のプレサやアバニコ、カリジェラなど、各部位が持つ異なる魅力を引き出し、訪れるたびに新たな発見と感動に出会えるでしょう。

すぐそばの本店「レセルバイベリカ」では、生ハムはもちろん、厳選されたデリカテッセンの缶詰や瓶詰め、ワインなども取り扱っており、お土産探しにも最適です。レストランでの食事後に訪れてみるのもおすすめです。イベリコ豚の極上の味わいとワインのペアリングが織りなす至福のひとときを、ぜひご堪能ください。

reserva iberica

バルセロナの「レセルバイベリカ」にて。ロペス氏と筆者

★RESERVA IBÉRICA The Kitchen

https://reservaiberica.com/
@reserva_iberica_thekitchen

★RESERVA IBÉRICA(バルセロナ)

@reserva_iberica_thekitchen

★RESERVA IBÉRICA(広島)

@reservaibericajapan

「スペインワインと食」に関する情報を、日本とスペインから、イベントの告知も含めて発信してまいります。最新情報をいち早く知りたい方は、毎週金曜日に配信しているスペインワインと食協会のニュースレター「LOHASPAIN」をご活用いただけたら幸いです。無料購読はこちらから

スペインワインと食協会 原田郁美

山口県出身。大学卒業後、広告代理店でデザイナーとしてのキャリアを積んだ後、スペインに語学留学。バルセロナでの3年間の生活を通じて、スペインワインと食文化に深く魅了され、帰国後は「日本とスペインをつなぐ架け橋」を志して独立。2011年に「スペインワインと食協会」を設立。2012年からはプリオラートでのワイン造り、国際営業マネージャー、スペインワインのプロモーション活動、及び執筆を手掛ける。WSET ® Level 3 , Spanish Wine Specialist(ICEX-スペイン貿易投資振興機構認定)

PERIODISTA DE AGE

Co-presidenta y periodista de la AGE, que se dedica a apoyar a los productores de vinos españoles para promocionar sus productos en el mercado japonés. Se mudó a España en 2012. Actualmente ofrece un servicio con el cual apoya la exportación de vinos y alimentos españoles a Japón, se encarga de hacer la traducción e interpretación relacionada con vinos españoles y la promoción.WSET ® Level 3

Periodista de age

Co-presidenta y periodista de la AGE, que se dedica a apoyar a los productores de vinos españoles para promocionar sus productos en el mercado japonés. Se mudó a España en 2012. Actualmente ofrece un servicio con el cual apoya la exportación de vinos y alimentos españoles a Japón, se encarga de hacer la traducción e interpretación relacionada con vinos españoles y la promoción.WSET ® Level 3.Spanish Wine Specialist.